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40代になってみて

小学生の頃の記憶が色濃く蘇ることがたまにある。まるで昨日のことのように、教室の窓から見る景色や隣の席の子が着ていたTシャツまでがくっきり浮かび上がり、ああ、あれもわたしだったのだと思う。40代に突入するとは思ってもいなかった。30代のときもそうだった。自分は常に、そこにそのままいるものだと信じていた。小学生のわたしは、「ずっと子供としてやっていく」と思っていたので、それが叶わぬことだと知ったとき、かなり動揺した。叔母から借りた古い『サザエさん』の漫画を見ては、永遠に子供でいられるカツオやワカメちゃんを本気で羨んだ。それで、今どうなのかというと、40代であることが嬉しい。きっと50代になるときはまた同じように動揺するのだと思う。それに今、やりたいことをすべて出来ているのかと言えばそんなこともない。毎日駆け足で過ごしているし、家事や仕事で自分のための時間はほとんどない。それなのに嬉しいのはなぜか。変な理由なのだけど、何とかやれていること、これに尽きるように思う。10代のわたしに向かって心の中で叫ぶのだ。「何とか今日までやれてるよ」と。その瞬間がちょっと可笑しくて、嬉しい。

photo: Suzuki Yosuke text:Yoshida Naoko

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